包帯を巻かれている間も、私の頭の中ではずっと東の顔が浮かんでいた。
「大丈夫?」って覗き込んできた顔も、私を抱き上げた時の腕の感触も、近すぎてまともに見られなかった横顔も、全部全部忘れたくなかった。
絶対に薄れてほしくない。思い出になんてしたくない!今この瞬間のまま、ずっと心に刻みつけておきたい!
東、東、東、東、東―――!!!!
本当にそれしか考えられなくて、気づけばニヤけそうになる口元を必死に押さえていた。
病院からの帰り道、もう限界だった。誰かに言いたくて言いたくてたまらなくて、助手席のお母さんに勢いのまま叫んだ。
「お母さん、私今日好きな男の子にお姫様抱っこされたんだ」
「え!?なにそれ超かっこいいじゃん!」
「保健室まで運ばれた…」
「やば…少女漫画…?」
「でしょ!?!?」
完全に親子そろってテンションがおかしかった。足を怪我して病院帰りなのに、車の中だけ異様に明るかったと思う。
そんなこんなで、現在。包帯を巻いて、松葉杖をつく生活になって2週間経つのだけれど…。



