「南野さん、私に言ったよね。“告白もしないで諦めるなんて、私は絶対許さないから”って」
「……そんなの覚えてない」
「私ね、あの言葉ですごく救われたの」
あの日を思い出す。
東が好きだった。でも怖かった。振られるのが怖かった。今の関係が壊れるのが怖かった。だから気持ちを隠して、諦めようとしていた。でも南野さんはそんな私を叱った。背中を押してくれた。
「振られたとしても伝えることを諦めたくないって思えたの。南野さんに言われなかったら、きっと今もこの先も東に告白できなかったと思う」
もしあの日告白していなかったら。もし東の隣にいるのが私じゃなくて別の誰かだったら。今はそう考えるだけで胸が痛い。苦しくて息が詰まりそうになる。
東が誰かに笑いかけているところなんて見たくない。東の隣は私がいい。そんな独占欲みたいな気持ちが自分の中にあることを、付き合ってから知った。
「だからね……」
だけどその先が続かなかった。
何を言えばいいんだろう。感謝を伝えたい。でもそれはきっと南野さんを傷つける。謝りたい。でも何を謝るのかも違う気がする。
私が言葉に詰まっていると、南野さんがふいに口を開いた。



