君に捧げるアイラブユー




「三木、ごめん!ちょっと南野さんのとこ行ってくる!」

「行ってらっしゃい~」



呑気な声に背中を押されるようにして教室を飛び出したけれど、廊下を走りながら、だんだん冷静になってきた。


――待って。私、南野さんに会って何を言うつもりなの?


足が少しずつ遅くなる。


東と無事付き合えました、ありがとうって言うの?でもそれってどうなんだろう。南野さんも東のことが好きだった。ずっと好きだった。そんな相手に向かって、「おかげで付き合えました」なんて報告するの?


気づけば3組の前まで来ていた。教室のプレートが目に入る。その扉の向こうには東がいる。北見もいる。南野さんもいる。

ここを開けたらどうなるんだろう。南野さんはどんな顔をするんだろう。私はどんな顔をすればいいんだろう。

今さらになって気づく。私、もしかしてすごく自分勝手なことをしようとしてるんじゃない?

南野さんは私を応援してくれた。背中を押してくれた。だからって傷つかなかったわけじゃない。好きな人を諦めるのは苦しかったはずだ。辛かったはずだ。

それなのに私は、自分が幸せになったからって、その報告をしようとしている。


そんなの――残酷じゃない?


もし今、南野さんが東への気持ちを完全に吹っ切っていたとしても。もし今はもう好きじゃなかったとしても。わざわざ目の前で見せつける必要なんてない。