君に捧げるアイラブユー




「え?」

「西宮のこと、待ってた」



そう言って東が少しだけ目を細める。その綺麗な瞳が真っ直ぐ私を映した瞬間――ドクンッ!心臓が大きく跳ねた。

胸の奥が熱くなって、呼吸まで上手くできなくなる。

待ってたって、何?私を?私のことを?なんで?どうして?


じわじわと顔に熱が集まっていくのが分かる。まずい。絶対赤くなってる。

東に見られたくなかった私は、慌てて俯いた。こんな簡単に動揺してしまう自分を知られたくなかった。


もう嫌だ。なんでこんなに振り回されなきゃいけないの。私は東に振られたんだよね?そうだよね?なのにどうして。どうして振った本人の方が平気な顔で近づいてくるの。



「……ちょっと、あまりにもそれは酷いんじゃない?」

「なんで?」

「なんでって、そんなの……!」



そこでハッとする。思わず声が大きくなってしまった。


しまった、ここ昇降口だ。周りにはたくさんの生徒がいる。登校時間真っ最中で、人の出入りも激しい。ちらちらとこっちを見る視線まで感じてしまって、恥ずかしさで頭が真っ白になる。



「……東、私のこと思うならもう会いに来ないで……!」



気づけばそう叫んでいた。そして今度こそ思い切り手を振り払う。

東の温もりが離れていく。それなのに少しだけ寂しいと思ってしまう自分がいて、本当に嫌になる。


私は逃げるように階段へ向かって、駆け上がる。

とにかく逃げたかった。東から、自分の気持ちから。追いかけてこないで、お願いだから。これ以上優しくしないで、期待させないで。

そう願いながら必死に足を動かした。