あの夏、キミが描いた青空


「…お前、いつも何してんの?」



もうすぐ最終下校のチャイムが鳴るため、帰ろうと思ってカバンを持ち上げた時、大野の声が聞こえた。



「いや…」



思わず反応しそうになったが、琴音の言葉を思い出して口を閉じる。



「何だよ」



大野が教室に入ってきて、あたしの隣の自分の席に伏せた。



ー『もう、王子様と関わらないでくれるかな?』



無視をするのは可哀想だけど、琴音のためなら仕方ない。



あたしは荷物を持って、黙って教室を出た。



「おいブス!」



後ろから大野が追いかけてきて、あたしの腕を掴んだ。



「何?痛い、離して」



必死に手を振り解こうとするあたしの腕を、さらに力強く掴んでくる。



「何でシカトすんだよ」



冷たく、低い声でそう言う彼。



本当はあたしだって、無視したいわけではないのに。



大野と話すのは楽しかった、はずなのに…。



それなのに、あたしは嘘をついた。



「そもそも毎日話しかけてこられて迷惑なの!あたしはあんたに興味はない。むしろ嫌い!もう関わってこないでよ」



そう言って大野の顔を見ると、悲しそうな顔をしていた。



流石に言いすぎたかな。



でも、もうこれでいいんだ。



「そっか、悪い」



最後にそれだけ言い残して、大野は俯いたまま歩いて行ってしまった。



あたしったら何言ってるんだろ。



別に大野のことなんて好きでも何でもないし、いいんだけどね。



あたしはしっかり大野に伝えた。



だからきっと、もう二度と大野と関わることはないだろう。



最終下校のチャイムが鳴る中、あたしは寂しい気持ちに気づかないふりをして、ひとりで歩いて帰った。