あの夏、キミが描いた青空

全ての授業が終わり、帰りの準備をする放課後。


準備を終わらせた琴音が、カバンを持ってあたしの席に来た。


「ねぇ、さっきの何?」


「さっきのって?」


あの授業の時のことだろうか。


「王子様と関わらないでって言ったよね!?」


そう言ってあたしの机に、バンッと思いっきり手をつく琴音。


「別に関わってないよ」


やっぱりテレパシーは通じなかった。


「じゃあ何?何で王子様の寝顔見てたのよ!」


「いやそれは…」


寝息が聞こえたからちょっと見ただけなのに。


もしかして、見過ぎだったかな?


「ほら、何も言えないんじゃん。本当にお願いだからやめてよね!」


早口で琴音はそういい、教室を出て行った。


そういえば、大野はどこに行ったのだろうか。


いつもこの時間になると姿を消す大野。


女子から隠れているのだろうか?


どっちにしろ、もうあたしが大野と関わることはない。


全ては親友、琴音のためだから。


荷物をまとめ終わったあたしは、いつもみたいに帰る生徒たちを見送っていた。


ふとあたしは、大野のカバンがないことに気がついた。


大野にしては珍しく早く帰ったのだろうか。


これで大野とふたりきりになることもないし、安心だ。


最終下校時間が近づいてくる。


今日はまだ人が多い。


「たまにはこんな日もあるよね」


雨だし、生徒玄関が混むのも仕方がない。


それに、今日の六限は体育だったクラスが四クラスもあった。


体育館は広いけど、四クラスも同時に行うのは流石に無理があっただろう。


もしかしたらこの人たちは、六限に体育をして教室に戻ってきた頃には下校時間になって、バタバタと準備をしていたのかもしれない。


うちのクラスも六限に体育があるときは、出るのが遅くなる。


「四クラスだもんね」


だからまだ、こんなに人数が多いのだと察した。