あの夏、キミが描いた青空


「琴音…」



とても小さな声だったが、琴音にも聞こえたみたいだった。



琴音はあたしに視線を戻すと、ただ、首を横に振っていた。



琴音までどうしたのだろうか。



昨日は楽しそうに、あたしとお喋りしてたのに。



それを見た柏木さんは鼻で笑いながら、あたしに詰め寄ってきてひとこと、



「あんたの居場所、ないから」



そう言った。



それだけ言うと、柏木さんは再び大野の元へ行った。



あたしは呆然とその場に立ち尽くすことしかできなかった。







授業の内容なんて、一切頭に入ってこない。



さっきの琴音の態度や、柏木さんの言葉を思い出して頭の中がいっぱいだ。



大野はというと、隣で寝息を立てて寝ている。



コイツは人気者でいいなぁ。



あたしなんて、いじめの対象になっちゃったよ。



あたしは陽気に眠る大野の顔を見て、ため息を吐いた。



すると何となく、前の方から視線を感じる。



あたしは教室内を見まわした。



すると、琴音と目が合った。



授業中だと言うのに、一番前の席から一番後ろのあたしをずっと見ている。



あたしが大野と関わってないかを確認するためだろうか。



『大丈夫だよ。何もしていないから』



あたしは琴音に、通じるかわからないがそんな視線を送ったのだった。