あの夏、キミが描いた青空

「琴音…」


とても小さな声だったが、琴音にも聞こえたみたいだった。


琴音はあたしに視線を戻すと、ただ、首を横に振っていた。


琴音までどうしたのだろうか。


それを見た柏木さんは、あたしに詰め寄ってきてひとこと、


「あんたの居場所、ないから」


そう言った。


あたしは呆然とその場に立ち尽くした。





授業の内容なんて、一切頭に入ってこない。


大野はというと、隣で寝息を立てて寝ている。


コイツは人気者でいいなぁ。


あたしなんて、いじめの対象になっちゃったよ。


あたしは陽気に眠る大野の顔を見て、ため息を吐いた。


何となく、前の方から視線を感じる。


あたしは教室内を見まわした。


すると、琴音と目が合った。


授業中だと言うのに、一番前の席から一番後ろのあたしをずっと見ている。


あたしが大野と関わってないかを確認するためだろうか。


『大丈夫だよ。何もしていないから』


あたしは琴音に、そんな視線を送ったのだった。