「外の道路に出ちゃってたらどうする…?」
「それはない。ここが快適なことを一番知ってんのがあいつだから」
「でも湖あるしっ、落ちてたら…」
「泳げるんだよ犬は。昔も夏はよく楓あたりが泳がせてたし」
この人から昔話を聞けるなんて、思ってもみなかった。
この人の口から兄弟の話が聞けるだなんて。
こんなタイミングじゃなければもっと教えてとねだってみたいところなのに……。
ちなみにこの数日間、葉奈は屋敷を出たり入ったりしていたけれど、それ以外はわたしと顔を合わせる頻度も多かった。
とくに夜はこの場所でちゃんと寝ているようだし、昨日なんかはYシャツにネクタイという制服姿で現れて驚いたのなんのって。
………高校通ってたんかい、と。
「ローレンはね…、最初こそわたしの身分証を奪ってきたけどっ、普通なら警察案件だけどっ、それでもわたしにとって…っ、ここにきて初めてのお友達だった、から…っ」
「なにお別れ前提で言ってんだよ。居るから、どっかに必ず」
「うっ、ひっくっ、でもっ」
「たしかあいつは暗いとこが好きじゃなかったっけ」



