「朝っ、いつものところに居なくて…っ、どこ探しても見つからないの!声すら聞こえないの…!!」
「どっか走り回ってるだけだろ」
「ちがうッ!いつもこんなことないしっ、お散歩の時間は必ず待ってる子なんだよ…!?呼んでも来ないしっ、屋敷ぜんぶ5周くらいしたもん…っ、でもぜんぜん見つからなくて……っ」
うっ、うっ、と。
我慢できずに堪えきれなくなったわたしの音が、「はー…」と息を吐いた男からスマホを手放させた。
「俺も探せばいーんだろ。ウザいから泣くなよ」
「うんっ、うん…っ」
うなだれるわたしを横目で見ながらも、葉奈は大きなウォークインクローゼットを開けて着替え終えた姿で出てくる。
意外にもシンプルに統一された部屋。
端にある大きめな水槽が、まず目に入った。
アクアリウムだ……。
水槽内も綺麗にされていて、魚たちは優雅に泳いでいた。
そんなことをしていれば彼は髪をくしゃっと適当にいじってから、「おい」と、面倒オーラを放ちながらもわたしを一緒に部屋から連れ出す。



