「っ…、ローレンっ!おねがい返事して…!!」
もちろん奉仕先の大切な飼い犬の安全を守れなかったとなれば、わたし自身もこの屋敷を去ることは確定だ。
でも、いいのそんなこと。
ローレンが無事で居てくれさえすれば、クビだろうが何だろうが、なんだっていい。
「起きて葉奈…っ!!」
かつて「睡眠の邪魔したら殺す」とまで言ってきた男の部屋の前。
物音を立てることは絶対にしてはならない。
我が命を守りたいなら近づくな。
そんな無言の圧力が貼られた1室の扉を、わたしはノックもせず勢いよくバンッと開けた。
「……うるさいよ」
キングサイズのベッドの上、すでに奴は上半身を起こしてスマートフォンをいじっていた。
あれだけわたしの叫び声が朝から聞こえていたら、さすがの防音だとしても起こしてしまうだろうとは案じていたけれど…。
「はっ、はあ…っ、ろっ、ローレンが…っ」
チラリと画面から外してわたしを見つめてくる。
なんとなく彼も察してはいるようで、経緯を話せと視線が語ってきた。



