「やっぱり牛タンには塩だよね〜!」
「いやワサビ」
「ええっ?そんなのツーンときて牛タンの味ぜんぶ持ってかれちゃうよ」
「それが素材の味を引き立てんだろ。はっ、塩とかつまんな」
「つまんなくないよっ!シンプルイズベストなの!じゃあもう2度と塩使っちゃダメだからっ」
答えるところは答える。
面倒になったらスルー。
それが、この男の会話方法なのだということが分かった。
ほらね、今もスルーしてくるし…。
スルー後の沈黙に八つ当たりしそうになって、わたしは気を紛らわせるためにもテレビをつけた。
《やっぱり牛タンには柚子胡椒なんですよ!!》
と、見たこともないタレントがそんなことをほざいている……だと。
「いやいやいや!!ないないっ、それだけはない!!ねえ葉奈っ、いまの聞いた…!?」
「ない。柚子胡椒?なんだよその邪道。ふざけんてんの?」
「そーだよね!?ぜったいふざけてる!!」
足を組みながらトングをスッと、大画面の液晶へと向けるピンクベージュくん。
わたしも乗っかるように腕を組んで仁王立ち。



