「…サナ、」
「え?……っ!」
「おまえもゆっくりしていい。あいつらも居ないし、少しは羽を伸ばせ」
「…ろ、ローレンと……仲良くしてる、よ」
「ふっ。ああ」
まさかまさか、名前を呼ばれてあたまポンポンだなんて。
………時間よ、永久に止まってしまえ。
「…………」
だーれも居なくなった100畳のリビングにて。
わたしは20分は余韻に浸りながら立ち尽くしていたと思う。
ちゃんと「行ってらっしゃい」って言えたっけ…。
あのあと何か言ったっけ……。
面白いくらい記憶すっ飛んでる…、
今さっきのことなのに。
「本当によろしいんですか?」
「いいんですいいんです!シェフさんも毎日働き詰めだったと思うので…!」
「…すみません。それではお言葉に甘えさせていただきます」
「はい!」
こんな機会、なかなかない。
おなじ仕える身として気持ちがわかるからこそ、こういう日くらいは息抜きをして欲しい。
今日から7日間、彼らが帰宅するまで休暇を取ってくださいと日向家唯一のシェフに伝えた。



