日向家の諸事情ですが。





笑顔を見せたわたしにホッとしたのか、今度は角度を変えて深く重ねてくる。



「んっ、ンン…っ」


「…苦しくない?へーき?」


「んっ、うん…っ」



そんなこと聞いてくるなんて、葉奈らしくない。

どっちが本物のあなたなの?っていうよりは、わたしに見せてくれる顔ぜんぶが日向 葉奈なんだと思うことにする。



「おまえがこんな可愛いなんて、知らなかった」


「…今まででいちばん……?」


「…じゃないと思ってたら心外だな」



ゆっくり、ゆっくり、ボタンが外されてゆく。

わたしが少しでも怯えて震えたなら止まって、甘いキスやハグに変わる。


ただやめる気だけはないところが、なんとも彼らしいと。



「葉奈、むり…っ、恥ずかしくてしんじゃう……っ」


「…ごめんサナちゃん。言ってなかったけど、そーいうの煽りにしかならないんだよなあ」


「そ、そんな…っ」



絡め取られた指が、隙間なく握られる。

わたしの反応ひとつひとつが愛おしげに受け止められて、倍になって返ってきたり。



「あっっ!!」



しかしそこで、わたしはあることに気づく。

わたしの身体を堪能しようとしていた男は一瞬動きを止めて、顔を上げた。



「ま、まだお付き合いもしてないのにこんなのダメぇぇ…っ」



順序は守らないと…っ。

階段はやっぱりちゃんと登るべきなの…!