日向家の諸事情ですが。





「ひゃっ、葉奈…、くすぐったい、」



キスが雨のように降ってくる。

軽いリップ音をたまに響かせながら、わざとらしく甘さを放出させるように。


こんなふうに雰囲気から入ってくる動作は、初めてだ。


反射的に身体が引いてしまうことを逆手に取って、そのままゆっくり倒されたベッドの上。



「…俺、あと2ヶ月で留学するけど」


「……うん。でも、大丈夫だよ」


「浮気したら許さないから」


「し、しないよ…!」



言葉は相変わらずでも、触れてくるひとつひとつがケタ違いに優しい。


ケタ違い。

そう、最初っからケタ違いの場所に来ちゃったわたしは。


思い返せばいろんなことがあったなあ…。



「…サナちゃん?」


「っ、やっぱり…、ちょっとだけ……寂しいかも…」



重さが乗りかからないように覆いかぶさってくる葉奈の服を、ぎゅっと握ってしまう。