日向家の諸事情ですが。





「識くん…!!」


「おまえ…なんで、ロスに帰ったんじゃ…」


「1日伸ばしたの…!大学には怒られちゃうかもしれないけれど、そんなのどうだっていいもの…っ」



プライドも見栄も捨て去るように、それはそれはお嬢様らしくない行動だった。

母親の墓場で識に抱きつくとか、面白すぎ。


まあでも、母さん。

俺たちは賑やかに元気でやってるって、見てやってよ。



「私っ、玉ねぎが嫌いなの…!本当はコーヒーだってミルクたっぷり入れないと飲めないわ…!!こんな…、こんな私だけど…、やっぱり識くんだけは諦めたくない…っ」



それどーいう告白だよと、聞いているだけでもツッコミどころ満載だった。

とりあえず俺はドヤ顔を見せびらかしていたメイドの腕を掴む。



「わっ!葉奈っ、いいとこなのに…!これからアニキの抱擁が見れるよっ」


「見るなよそんなの。サナちゃんには俺が一生かけてしてやるから」


「っ…!」



ねえ、ありがとう。

おまえが居なかったら俺たちの壁は壊れなかった。


日向4兄弟を繋いだのは、サナちゃんだよ。



「…こんな墓参り、初めて」



母さん、遅くなってごめん。
やっと4人揃って会いに来れたよ。

ああそれと、俺は自分の名前……そこまで嫌いじゃないから───。