日向家の諸事情ですが。





「私…、あなたにずっと、謝りたかったの…」


「俺に?なにを?」


「昔……葉奈くんにひどいことを言ってしまったわ」


「……ああ、もしかして“おとこおんな”って笑ってきたやつ?」


「っ…、」



まさかそれ、ずっと気にしてたとか?

うそだろ。
あんなチビだったときのことを?


本気であたま下げてるし、震えてるし。



「あの頃の俺、なかなか可愛かったでしょ」


「…え…?」


「4兄弟のなかでいちばん可愛くて格好いいのが俺だからさ。おとこおんなってのは…その通りすぎてネタだろもう」



思うことがあるなら、もっと愛想よくしておけば良かったなってくらいだ。

あんなに可愛くて女装が似合って、女に間違われることばっかだったんだから。


もう今は筋肉ついたし、声も体付きも男だし、どう頑張ったとしてもあの頃の俺には戻れない。



「罪悪感でどうにかなりそうなら、それこそあんたは識だけを見ててよ。俺が心置きなく安心してイタリア行けるように、頼んだよ」



こう見えて不安なんだよ。

アニキアニキって馬鹿みたいに追いかけてる奴だから。


あんたがしっかり識を掴んでてくれないと、俺はしょっちゅう帰国することになる。