「日暮さん…?」
「あっ!椿さん!よかった会えた…!」
「彼女は私のお友達よ。…私がここに呼んだの。無礼な真似はやめて差し上げて」
「もっ、申し訳ございません椿お嬢様…!」
識くんとのことだろうとは、わかっていた。
どうにか話を合わせて、ふたりだけの部屋へと日暮さんを案内する。
いつだって笑顔を絶やさず、元気いっぱい。
そんな彼女だからこそ、識くんも葉奈くんも心を開くしかなかったのだろう。
「いや〜、すみません急にバタバタと押しかけちゃって!」
「ふふ。いいの。ちょうど私も明日ロスに帰るし、退屈していたところだったから」
「明日…帰っちゃうんですか?もう日本にはとうぶん来ないんですか…?」
「…ええ。来る理由も、もう無くなってしまったから」
識くんに会うためなら、なんだってできた。
学業だけでなく大東家としての役目は強がっても簡単とは言えなかったけれど、それでも識くんに会えるならと時間があれば帰国して。
彼の休みになるべく合わせるようにして、多少の無理は無理のうちに入らない。
そんな日々ももう……終わるのね。



