日向家の諸事情ですが。





「…磯山。話は聞いたわ」


「……はい。私としましても、識様には改めてお話をさせていただくつもりです」


「そんなことはしないで」


「ですが椿お嬢様、」


「いいの。…仕方ないことよ、これは私の罪なのだから。彼の、識くんの幸せを願うだけよ」



婚約破棄。

相手側から断られてしまった私は、明日、再びロスへと旅立つ。


誕生日パーティーにも出席してもらえて、私の婚約者として彼には何年も苦しい思いをさせてしまった。


私の勝手で、ただ私が彼のそばに居たかったからという理由で、家柄を利用してズルいことばかりをしたのは私。



「私は彼に…嫌われているもの」


「椿お嬢様……」



19歳、ちょうどいい区切りじゃないかしら。

いつかこうなるだろうとは前々から思っていたことであり、私は最初から識くんの思いを尊重するつもりだった。



「磯山。お父様とお母様を困らせてしまったけれど、ほかの縁談もきっとあるわ」


「…それが、少し変わったことになっているんです」


「変わったこと…?」


「識様の意向で、椿お嬢様の新しい縁談相手は……葉奈様にしてくれと、お申し付けられました」