日向家の諸事情ですが。





ぎゅうっと、抱きつくチカラを強めた。

追い払わない葉奈が悪いの。
嫌なら蹴飛ばしてまでも退かせばいい。



「だから、いっしょにイタリア来いよって言ってんじゃん」


「っ、…ここで……待っていたいんだもん」


「…たまには来てくれんの?」


「行くよっ!長期休暇取ったりしてっ、でも……葉奈もしょっちゅう帰ってきてくれるんでしょ…?」


「…帰ってくるよ。おまえがいるから」



じわっと、目頭が熱くなる。

気づけば背中に同じように回されて、器用にポンポンと叩いてくれていた。



「でも初恋のひとが椿さんは嫌だぁぁぁ…っ」


「…チッ。だれに聞いた?」


「アニキ!!」


「…あいつ。ほんと余計なことばっか言いやがってさ」



アニキも葉奈も椿さん椿さんって、たしかに彼女は素敵な女性だけども…!!

だからこそ悔しいの……。



「俺はサナちゃんのほうが可愛いと思ってるけど」


「…えっっ。ほ、ほんと…?ねえ葉奈っ、もう1回言って!」


「……今のは幻聴」


「なっ!もうっ!恥ずかしいからって幻聴にしないでよっ」



葉奈。

わたしも今はアニキより葉奈のほうが格好いいと思ってるよ。


とは、ぜっったい言ってやーらないっ!!