「アニキさ、椿さんのこと好きじゃんか」
「………、」
「普通に惚れちゃってるでしょ。どうして素直にならないの?どうして…弟に譲っちゃうの?」
まさか気づいてなかったとか?
アニキが椿さんをどんな目で見ているか、いちばん近くで見てしまったのはわたしなんだよ。
そのわたしが言うんだから絶対だ。
あの日、パーティーで酔っぱらった男たちに絡まれているところを守っていたとき。
わたしに行かせなかったのはわたしを守るためなんかじゃない。
アニキが自ら彼女を守りたかったからだってことも。
「俺は今まで…長男だからって理由だけで葉奈が欲しいもん全部を貰ってきた。…ひとつくらい譲るべきだろ、兄貴なんだからよ」
「ひとつって……ふたつも譲ろうとしてますがな」
「………うるせえ」
わ、拗ねた。
そんな顔ができるなら、長男だからって隠さず見せたほうが絶対みんなも嬉しいはずなのに。
あなたはもっと19歳で居るべきなんだ。



