日向家の諸事情ですが。





「えっ、あっ、お、おかえりなさいませ…!」



それは、突然のこと。

とつぜんで、突然すぎて、言っちゃいけないけどこいつはバカなのかと思った。


ある日、初めて対面する旦那様、つまり日向家の主であり4兄弟の父親が屋敷に帰宅してきたのだ。



「…見ない顔だな」


「わ、わたしっ、メイドとして仕えております日暮といいます…!」



とっさの自己紹介。

こういった予期せぬ事態にこそ、使用人としての腕が試される。


いつかに指導者でもあった早瀬家の人間に教えてもらった教訓は、一応のところ実践できたらしい。



「…メイドか。識は居るか?」


「識様…ですか?はい、おられますが…」


「呼んでくれ。すぐにだ」


「か、かしこまりました…!」



どこか焦った様子の旦那様。

この人が日向家の当主かと、欲を言えばもう少し見たいところではあったけど…。


命令に背くわけにもいかず、わたしは急ぎ足でアニキのもとへ。


もちろんリビングにいて、そこには他の兄弟たちも揃っていた。