日向家の諸事情ですが。





悪代官なのかこいつは……。

わたしはただ抵抗しようにも許されないから、必死になってただけなのに…っ。



「んっ、んむ…っ、はひゃ…っ」


「……は、」



骨ばっていて、長くて綺麗な中指と人差し指。

わたしが涙目に応えれば応えるほど、見下ろした葉奈は湧き上がるなにかを必死に耐えていた。


その控えめながらもしっかり存在する喉仏が、ゴクリと動く。



「ワンっっ!!!」



そこで、バンッと開いたドアの先に。

真っ白ツヤツヤなモフモフくん、登場。



「…ローレン、今は取り込み中。…おすわり」


「ワンッ!!」



次男の言うことはおやつナシでも聞いてしまう愛犬は。

パタパタと尻尾を振って、キラキラした目を送って。



「もうお嫁に行けないいぃぃぃ…っ」


「犬に見られたくらいでなんだよ」


「そーいう問題じゃないの…っ!バカ…!!」



だってわたし、なにしてた…?

葉奈の指で……なにしてた…!?


脳内も心もとろけすぎて、自分が何をしていたのか意識がハッキリしてない……。



「被害者面やめろよ。おまえが俺を煽ってきたせいでもあるし、どう考えても俺のほうが後処理キツいから」


「んっ!」



ちゅっと、可愛く合わせて騒ぐポンコツを黙らせてから。

葉奈はローレンにわたしを託すと、スタスタとコテージを出ていった。


これは間違いなく他の兄弟たちには言えない諸事情である───。