日向家の諸事情ですが。





っ……!!

どうしよう、このままだと揚げ足ばっか取られちゃうよ。


こいつは口から生まれてきたような男だ。

なにを言っても意地悪に返されて、なにを言っても論破されて勝てっこない。



「イタリアに行けば早瀬さん…、“真冬にーちゃん”も居るよ」


「そ、そーやって釣るのズルい…!」


「なんとでも。使える手はなんでも使うから俺は」


「わたしイタリア語もできないしっ、海外なんか行ったことないし…」


「必要だったら通訳つけたっていーよ。はい問題ナシ」


「っ、えっと、えっと…っ、さっきも言ったようにここで葉菜を待っていたいの…!」



耳元にリップ音が弾けたタイミングで、おもいっきり言う。

ピタリと止まったかと思えば、そのままぎゅっと抱きしめられた。



「…それはここじゃないとダメ?」


「う、うん…。日向家が…いい」


「俺とふたりじゃ不安?退屈?…俺はおまえとふたりがいいんだよ」


「っ…、葉奈…、イタリアでは一応大学生でしょ…?卒業するまではせめてっ」


「わかった」


「……へっ」