「…そんなに識と居たいのかよ」
「ち、ちがうっ。どんなに離れたとしても葉奈がここに帰ってこられるように…、待ってたいから…」
だって葉奈は、どんどん距離が開けば開くほど臆病になっちゃうでしょ。
こうして兄弟たちとまた関われるようになって、話せるようになって、慣れというものが生まれて。
でもまた距離が空いたら、同じくらい遠慮をしてしまう。
そんな未来が見えるから、そこを繋ぐ存在にわたしはなりたいんだもん。
わたしさえ居ればあなたはわたしを口実にこの家に帰ってきてくれるんじゃないかって。
「…それ言われたらもっと連れていきたくなるって、なんで分かんないかな」
「え…?───ん…っ!はな…っ」
また、あの日みたいなキスだ。
そっと背中と後頭部を支えられて、けれどチカラはそれなりに強くて。
わたしのタイミングに合わせてくれて、でもやっぱり自分本位なところもあって。
矛盾だらけの優しさだとしても、優しさ自体は誰よりも器用で温かい。
それが日向 葉菜なんだ。



