「わ、わたしっ、このあとローレンのお散歩…!」
「俺も行く」
「えっ、い、いいよ!葉奈はお休みなんだからゆっくりしてて!お洗濯物ありがとう…!すっごく助かっちゃった!」
「俺がしたいんだよ」
「っ、」
いちいち距離が近いし、わたしだけを見つめてくるし……。
正直言って耐えられないの…っ。
何より、あの日のキスが忘れられない。
あれは確実に義務的でもなんでもなく、優しさと甘さだけを向けられた正真正銘のキスだった。
「それにまだ返事、聞いてないんだけど」
「な、なんの…?」
「…俺といっしょにイタリア、来てくれる?」
コツンと、おでこが触れ合う。
そんなことにも胸は落ち着かないし、切なそうな顔をしないでってなぜかわたしが泣きたくなるんだから困る。
でも…、でもね、葉奈。
「わたし……行かない」
「…………」
「ここに…いる」
怒られるかと思いきや、そこには寂しそうで諦めを含んだ下手くそな笑みがあった。



