日向家の諸事情ですが。





「それを叶えるには…サナちゃん。悔しいけどおまえが俺の隣に居てくれないと困るんだって」 


「葉奈…?」


「…まあ、もう認めるよ。いーよそれで」



わかんないよ。

認めるって、なにを?
いーよって、なにがいいの?


どうしてそんなふうに見つめてくるの…?



「……ッ!!」



それはもう当たり前のように重ねてきた、唇。



「はな…っ、ま…っ、んぅ…っ」 



あの日、地下牢で。

わたしを生きさせるためにしてきたものとは似ても似つかない。


なのに………同じにも思える。


わたしを逃げさせまいとする手とか、妖艶でありながらも鋭くて甘い、心の読めない目とか。



「ん…っ」



呼吸も、タイミングも、気持ちも。

全部そんなふうに合わせてくれるなんて、どうかしている。


キスで涙が拭われてしまった。



「───…さすがにこれはカウントされるだろ?」 


「っ、ばか…っ」



兄弟のなかでいちばん優しいのは、きっとこいつだ。