日向家の諸事情ですが。





「俺、高校卒業したらイタリアに留学するから」


「う…っ、ひっく…、ううっ」


「まさかおまえが早瀬さんと知り合いだったことは想定外すぎたけど。逆にそれさえ使えるからラッキーだったな」



イタリア…?留学……?

真冬にーちゃん……?



「今後はもっとおまえ使ってあの人たちに媚売るよ」



意味わからないよ。

そういえば前も、わたしと一緒に行くだのなんだのと言っていたような気がする。


詳しいことはまた今度とか言っていて、その「今度」が今日だとするならば。



「で。イタリア留学するとき、おまえを連れて行きたいんだけど」



ピタリと、涙が止まる。



「わ、わたし……?なんで…?」


「…たぶん俺にはおまえが必要だから」



やっぱり似ているね。

そのセリフをわたしはかつて長男からも聞いている。



「あと、おまえが識のこと考えなくて済むだろーし」



背中に回っている手が、声が、日向 葉奈のものとは思えないほどに優しかった。