「っ…、うぅ…っ」
今日ずっと、アニキのことを見ていた。
椿さんの隣にずっといる彼のことを。
このまま結婚して夫婦になっていくんだろうな、わたしが知らない彼を椿さんは知っていくんだろうなって思ったら。
嬉しいより、やっぱりまだ悔しいとか悲しいのほうが多かったよ。
『私ね、日暮さん。…識くんと葉奈くんに、嫌われているの』
『彼らは私のことを……恨んでいるわ』
正直に言っていいならば、「どうかそのまま嫌われ続けてください」なんて思ってしまった。
よっしゃ!って思ったし、やった!とも思った。
わかってるよ。
メイド失格、嫌な女ランキングも殿堂入りだ。
「でもそんなの…嘘じゃん……っ」
嫌われている、わけがない。
さっきのアニキの行動はどの角度から見たって、好きな女を守る男の図でしかなかった。
幼少期のことは幼少期。
けれどもう、アニキだって葉奈だって成長していろんな経験をして変わってるよ。
椿さんは優しすぎるんだ。
そして椿さんがそのときのことを気にすれば気にするほど、きっとアニキはあなたを好きになっていく構図が出来つつある。



