日向家の諸事情ですが。





いつもの調子が戻ったわたしに、真冬にーちゃんは安心したように微笑んだ。

そこでキラリと光った、彼の左手薬指を発見する。



「わあっ、結婚してる…!!」


「おまえが飛行機が怖いとか言って断ってきた結婚式な」


「……も、申し訳ねえ」



あれね、実際はちがうの。


そのときの奉仕先の人間に止められちゃったんだよ。

わたしの都合などどうでもよくて、メイドを1つの道具としてしか扱ってこなかったご主人様に。


だからめちゃくちゃ行きたかったんだよ本当は。



「ねえねえ、またお嫁さんのこと教えて!どんな人か知りたいっ」



わたしなら仲良くなれそうだと、柔らかくうなずいてくれた。



「そろそろ俺は戻る。…サナ、健やかにやれよ。おまえなら大丈夫だ」


「…うん。また会おうね真冬にーちゃん!」



────ありがとう、真冬にーちゃん。