よく分からないけど「ニッ」と歯を見せれば、真冬にーちゃんも安心したように目尻を下げた。
そしてふと、親族繋がりで思い出すことは。
「真冬にーちゃん…、じーちゃんがね、亡くなったの」
「…話には聞いてた。ただ悪天候で飛行機が止まって葬儀に出席できなかったんだ。…ごめんな」
「…ううん。わたしだって、じーちゃんに何も伝えられなかった…」
どうしたって視線が下がる。
家族のなかでいちばん優しくしてくれて大好きだった人に何も伝えられなくて、挙句わたしだけが秘密を教えられて。
じーちゃんを恨んではないよ。
けれど、わたしはあの日から日暮家の人間じゃなくなったことは事実だ。
「───サナ」
そっとしゃがんで見上げてくる。
執事服を誰よりも着こなしていた真冬にーちゃんだから、やっぱりタキシード姿もとんでもなく似合っちゃうね。
きっとわたしの震える姿が、幼い頃のわたしに重なったんだと思う。
真冬にーちゃんはそのときと同じ目で温かく見つめてくれた。



