日向家の諸事情ですが。





「サナ。おまえ俺の兄貴にたっぷり鍛えられたんじゃねえのか」


「うっ…、うん、真夜(まや)にーちゃんにはコッテリしぼられたよ…」


「日向家に行ったことは噂で聞いた程度だったが。なんでそんな格好をしてるんだ。おまえはメイドのはずだろ」


「ええと、その、いろいろあって……」



一人前になるためのテスト前、15歳だったわたしの元に彼のお兄さんが現れた。

そのときスパルタ並みに使用人としての心得を叩き込まれて、なんとか実技ではなく根性で合格。


その情報は弟の真冬にーちゃんにもやはり回っていたらしく、今でさえ兄のような眼差しを向けてくる。


小さい頃も親族が集まった際、必ずひとりぼっちのわたしを気にかけてくれたのは真冬にーちゃんだったっけ…。



「ちゃうちゃう!そないなことより真冬にーちゃんこそ執事やめたって本当なん!?それってええんかいな…!?」


「なんで関西弁だよ。本業では、な。ただひとりのお嬢様のために仕えてるのは今も変わらない。それより親族として俺はおまえのことが心配なんだよ」


「へーきへーき!わたしなら大丈夫っ」