日向家の諸事情ですが。





混乱が混乱を生んで、これ以上収拾つかなくなる前にと、わたしと葉奈をスムーズにホールから出したのは真冬にーちゃん。

こんな動きでさえ、彼が特上Sランクのエリート執事だった形跡が見える。


てか、今はイタリアで有名事業とか言ってた……?


いやいや!

“真冬にーちゃん”こと早瀬 真冬(はやせ まふゆ)は、日暮家とも並ぶ使用人業界ではトップの家柄だ。


日暮家がメイド業ならば、早瀬家は執事業。


そして両家は遠い親戚である。

………わたしはもう、関係ないけれど。



「ってことは早瀬さん。今日ここに早乙女(さおとめ)さんもいたりします?」



うわっっ。

葉奈の敬語、聞くだけで耳の入り口付近で違和感というフィルターに引っかかる……。



「はい。おられます」



それに真冬にーちゃんは執事モード全開。



「…その敬語やめてくださいよ、今は俺のがいろいろ下なんですから」


「あっ!どこ行くの葉奈…!おい待っ───あいてっ!」



仕える主人になんて態度だと、先輩でもある真冬にーちゃんから軽いお叱りをひとつ。

葉奈が誰かを探しに消えたところで、わたしが知っている親族が向き直った。