「お嬢さんはまたお綺麗になられて…」
「もしや隣の青年が日向家の?…おお、これは未来が楽しみだ」
「若くして会社も経営しているらしいの。さすが日向家の長男だわ」
注目の的は、椿さん以上に日向家の長男だった。
期待の長男。
期待の跡取り。
その視線は長男を通り越すと、そこには必ず次男が立っているから。
「ああ…たしか兄弟たちも居るんだったか」
「そういえばみんな男だったな」
「賑やかでいいわね」
くらいの眼差しで、結局のところは長男にすべてが向かう。
けれどわたしの隣にいる男といえば、慣れたもののように気にする素振りなどしていなかった。
「葉奈、あとでいっぱい美味しいもの食べよ?」
「…俺はシチューがいいけど」
「ふふっ。似たものならあるかも」
今日はわたしたち、美味しいものを食べに来ただけですからっ!!
って、それくらいのフラットさで行こう。



