「おまえらはどこ行っても変わんねえよな」
「っ、…アニキ、しっかり婚約者さんをエスコートしてあげなくちゃダメだよ?」
「…ああ、任せろ」
その返事だけで満足なのに、チクリと胸が痛む。
わたしの選択肢には最初からアニキは無かったのだ。
このエスコートだってそう、未来の可能性だってそう。
「ひゃ…!もうっ、なに?」
くいっと引かれて、バランスを崩しそうになったところを先回りしたように腰に腕がそっと回る。
「俺に寄っかかっていーから。このくらいの距離じゃないとたぶん、おまえ歩きづらいよ」
「……ありがと」
確かにさっきより身体が固定されて、履き慣れないヒールでも無理なく歩けそうだ。
メインフロアに入って、ホールへと続く扉が使用人たちによって開けられる。
すでにグラスを片手にたくさんの人たちが談笑をしていたが、わたしたちが姿を現した途端に全員が注目。



