日向家の諸事情ですが。





「サナ!おれと歩こーよ!最っ高なエスコートしてあげる!」


「…ボクは…、迷うかも」


「ろ、ローレンっていうのは…」


「あるわけない」



うっ、ボケただけじゃん…。


こんなドレスで歩いたことがないから、できればわたしのペースに合わせてくれる優しい人がいいな。

楓くんはテンション上がって引き連れ回されそうだし、望はこの時点で迷うって言ってて不安すぎる。


葉奈は………論外じゃない??



「うーん……誰がいいかな、うーん…っと」


「なんで迷うんだよ。フツーに俺だろ」


「…えっ、わっ!」


「じゃ、これで行くから」



ぐいっと引っぱられた手。

さっそく優しさからは遠のいた行動だ。



「ちょっと葉奈…!これってわたしが選んでいいやつじゃないのっ?」


「おまえ少なくともそんな格好してんだからさ。すこしは大人しくしたら?」


「んなっ!そっくりそのまま返すっっ!!」



屋敷前に停まっている白いリムジンは、椿さんの執事である磯山さんが用意したものだ。

葉奈に腕を引かれるまま乗り込んで、他のみんなも同じようにして、いざ発車。