俺の弟を馬鹿にするな、
おまえなんか大嫌いだ───と。
アニキらしい。
ほんとうに、わたしが好きになったアニキらしいよ。
そんな幼き頃の失態を、今でもずっと椿さんは抱え続けているのだと。
「…大丈夫ですよ」
鏡越しに、笑いかけた。
「アニキも葉奈も、そんなのきっと気にしてません。だって…今があるから」
そこも届かないなら、わたしが間に立って繋いであげるから。
苦しさはちょっとだけまだあるけど、椿さんがアニキを当時から想い続けていた気持ちは本物だと分かる。
ご主人様の幸せをいちばんに願うのもまた、メイドの役目。
「わたしにお任せくださいっ」
「…日暮さん、」
「確かにあの4兄弟はクセつよですけど、…みんないい子たちですから!」
さあ準備は整った。
どんなパーティーになるんだと、ワクワクも出てきた。
自室を抜けて、男たちが待ち構えているだろうリビングへと椿さんと一緒に向かったわたしは。



