「ご主人様の絵画を褒め言葉のつもりで“ピカソみたい”と言って怒らせてクビ、腰が悪いフリをすることで鼻を伸ばしていたお祖母様を結果的に走らせてクビ。
…へへ、たまたま呼び間違えちゃった名前がご主人様の元交際相手の名前で奥様を怒らせてクビ。そんなことを13回も繰り返して……」
そうそう、1コ前のお屋敷では奥様のスカートをビリビリに破いちゃったんだよね。
アラフィフのクマさんパンツ。
忘れたくとも忘れられない思い出だ。
「14回目。広すぎる屋敷の前で身分証をモフモフなワンちゃんに取られて湖に落ちた先に……変わった4兄弟がいて。
2人くらいは話が通じたけれど、ひとりは引きこもりだし、もうひとりは……生意気ばかやろうだし」
「…………」
「…絆創膏、勇気出して渡したのに断られてひどい言葉いっぱい言われちゃったなあ。頑張って作ったシチューも不味い薄いって言って、口を開けばさっさと消えろ出ていけしか言わないし。こいつがもうほんっとに困ったヤツでね」
「……続けろよ」
「…うん。でもいちばんの困り者はたぶん、いやぜったい……そのメイドだった」



