日向家の諸事情ですが。





「死んでないよ。この子は……頑張って生きてたんだよ」


「…せっかくこんな…可愛いんだからさ。せめて笑えよな」


「……うん。かわいいね。でも、それ以上に強くて立派でかっこいいよ」


「…………」



恨みの先をどこに置けばいいのか、迷っている。


ただわたしは、絶対に過去の自分にだけは向けさせないようにしたかった。


それはちがう。
この子は頑張っていたんだ。

誰よりも誰よりも、頑張っていたんだよ。


この子を責めてはいけない。


だってこの子は今の葉奈になるために……きっと毎日泣いていたはずだから。



「…葉奈、おいで」


「………、」


「葉奈」



両手をそっと伸ばす。


望には無理やり引っぱってちょうど良かったけれど、この人にはそうじゃない。

自分から動かせてこそ、意味がある。


─────ぽすっっ。


寄りかかるように、伏せた顔がわたしの肩に乗っかった。