日向家の諸事情ですが。





「わたしスーツケースと結婚するの!!ここから離れない愛してるだいすきっっ」



いよいよこんな無理があることを言ってまで、わたしは自分のプライドを捨てる戦法に出た。



「…じゃあ識はもう諦めたってこと?」


「う、うんっ!つぎは君だっ、スーツケースくん!!」


「だったら俺にしろよ」


「……へ…」



ああもう……、終わった…。

変なこと言ってきたから抵抗ストップしちゃうし、すかさず葉奈はぐいっと引っ張ってくるし、わたしの身体を呆気なくも退かしてくるし……。



「…………」


「…………」



あ、えっと、その、ちがくて。

そんな言い訳はもう、言わないほうが正解な気がした。


彼はその服たちを、写真を、どんな気持ちで見下ろしているのだろう。



「……はっ、もっとマシな顔しろよこいつ。死んでんじゃん」



絞り出して精いっぱいの震えた声。