日向家の諸事情ですが。





そんなこんなで初恋のひとの婚約者さんのパーティーは3日後に迫り、わたしは変わらず今日という日をメイドとして過ごしていた。


食事のお片付けから始まってお掃除お洗濯をして、ローレンのお散歩。

そのあと中庭のお手入れに、時間が余ったらシェフさんのお買い物や料理の支度をお手伝い。


頼まれていた郵便物を届けたり受け取ったりと、使用人業はこう見えてもかなりの体力勝負だ。



「…………」



そんななか、わたしは例の物置部屋に来ていた。

埃っぽさはだいぶ取れたし、あとは細々したところの整頓さえ終われば一見綺麗に見えると思うところまでは来た。


数ヶ月前に畳んで奥にしまいこんだ小さなドレスたちと向き合って数分間。



「……きみはずっと頑張ってたんだね」



ポケットからそっと取り出した1枚の写真と合わせれば、やっぱりこのドレスで間違いない。


写真のなかにいる女の子は、ほんとうは男の子。

だれかのために無理をして、だれかのために自分を消して生きていたのだろう。


ずっとずっと、あなたは頑張っていたんだね────葉奈。