なにを言っても回り込まれてしまう。
わたしなんかよりアニキのことを知っているのは彼女だし、椿さんしか知らないアニキの顔がたくさんあるんだろう。
アニキと同い年だという椿さんは、大人っぽさに加えて少女らしさも兼ねそろえる魅力的な女性だった。
「たっだいま〜!……って、えっ、椿さんじゃん!!」
「あら。また身長が伸びたかしら?楓くん」
「やっぱ来てたんだ!!シキ兄も言ってくれればいいのにさ〜」
「望くん。私のこと、覚えているかしら?」
「……ちょっと」
「ふふ。よかったわ」
すごい、わたしが蚊帳(かや)の外になっちゃった……。
楓くんも望も懐いてるみたいだし、こうして見ると日向家の男たちにとって昔からお姉ちゃんのような存在だったのかな。
………なんか、居づらいかも。
中庭の水やりでもやってこよう。
「……どこ行くんだよ」
と、腕を掴んできた男がひとり。
「お花の……水やり」
「さっきしてなかった?」
「し、してないところもあるかもだから…!」
「明日は雨予報。そんなのどうとでもなるね」



