「新種の妖怪だと思った」
「…クマさんだよ。かわいいでしょ?」
「…まあ見方によっては?」
いま、気づいた。
アニキはジャケットの内ポケット、楓くんはスクールバッグ、望はリュックのなか。
そして絶対こんなの付けないだろうと思っていた葉奈は制服のスラックス、ベルトループにぶら下がったペールピンク。
何より黄色のわたしのマスコットには、なんと見知った革紐が取り付けられていた。
「これ…、ペンダントの……」
「結果がどうであれおまえが頑張ってきた時間は無駄じゃないだろ。…それだけは本物にしとけよ」
スルッと首に通された、ひとつ。
監視カメラや盗聴器が仕掛けられていることもなく、純粋な彼らとのお揃いだ。
「サナ〜、はやく食べよーよ!」
「…ごはん、冷める」
「おまえいつも本当は食いたがってたろ」
みんなの声に背中を押されて、わたしは熱くなった目元をゴシッと拭った。
「っ…、うん!!」
これからはワゴンから自分の好きなものを好きなように取るビュッフェ形式にしようと誰かは言って。
これでほんとうに全員が揃った朝食。
「さあ今日も元気に気をつけて行ってらっしゃい!クセつよ御曹司ども!!」
外の世界へと繋がる大きな門の前、4人の背中を笑顔で見送る。
────これが日向家のワケあり4兄弟。
なんて最高な、朝だ。



