4兄弟が揃うだけでこんなにも賑やかな朝になってしまうだなんて。
ずっと孤独を生きていた次男が揃っただけで、こんなにも忙しくて大変な朝になってしまうだなんて。
「……ふふっ、ふっ、」
そのとき、珍しい声が小さく響いた。
口元に両手を持っていって隠すように、目元と声だけでわたしたちに気持ちを伝えてきているのは。
ふふ、ふふっと、女の子のような笑い方をするんだと思わせてきた存在は。
もしかすると長男よりも表情の変化が乏しいんじゃないかと心配にもなる───末っ子だった。
「…やっぱすごいよ、サナ」
「え…?」
「望があの笑い方してんの……母さんが生きてた以来なんだ…」
そう言った楓くんは、どこか声を震わせていた。
つまりこの姿は末っ子の本当の姿ということ。
今までの使用人たちは1度たりとも見たことがない、家族たちしか知らなかったような笑顔。
こんなふうに家族が揃うのを誰よりも望んでいたのはこの子なのかもしれない。
だからこそ、きっとああやって引きこもってまで思い出ごと封印したんだ。



