「────うまくいった?」
屋敷に戻ってすぐ、誰もいない廊下の壁に寄りかかるようにして声をかけてきたのは葉奈だった。
薄々わかっていたんだろう。
俺が裏で動いていたことを、こいつは。
「おまえにしてはずいぶん強引なやり方だけど。…識」
「……葉奈が居てくれて助かった」
「…………」
ありがとう、とは素直に言えなかった俺たちの壁はまだ壊れそうにない。
「もうサナを解放してくれていいぞ」
「…おまえがしろよ」
「…俺は……演技とはいえ最低なことをした」
「だからこそだろ。…これ以上あいつにトラウマ植え付けたら俺、たぶん今度は殴るから」
まさか葉奈がそんなことを言ってくるとは。
俺は思わず、まともに目を合わせてしまった。
「…なんだよ」
「いや…、葉奈おまえ、……サナに惚れてんだな」
「………は……、」
らしくない顔ばかりを浮かべる弟を後にして、俺は地下牢へと向かった。
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