決してあいつの命に値段をつけているわけではない。
だが、これで手を打てるなら1億など容易い。
そして今回のことは父も知らない。
葉奈には父が帰ってくると言ったが、あれも嘘だった。
この金は日向家の資産から下ろしたものではあるが、母親の教えはこういう使い方をするんだとサナに聞かせてやりたいくらいだ。
「引き渡す…?あんな使えない小娘なんか引き取ってどうするのよ…!」
「日向家専属のメイドにする。あとの手続きや責任はこちらが背負うから心配ない。…するなら自分の心配しとけよクソババア」
「っ…、」
母親に裏切られたあいつは。
家族全員に嘘をつき続けられたサナは。
その苦しみをこれから背負い続けて生きていかなくちゃならないんだ。
血縁関係のない娘を見せかけの愛情だけで育て、こうして利用して、最後は使い物にならなかったと吐き捨てるというなら。
だったら俺たち─日向家─が引き取らせてもらう。



