「残念なのはおまえだよ。残念だが、うちは終わってない。先回りしてすべて食い止めた。むしろこのままだと終わるのは日暮家だぜ」
「な、なにを馬鹿なことを言ってるのよ。あなたたちの取引先のデータだって私は手にしているんだから」
「ああ、その取引先に前もってすでに伝えてあるからな。むしろそれで日向家の信頼は上がったくらいだ。だからそのデータはもう、使えないんだよ馬鹿」
「っ…!!」
「むしろ日暮家の悪業を世間に今すぐにでも漏洩できるのが俺たちだ」
この上ない脅しだろう。
使用人業界ではトップを誇るとも言われている日暮家の弱みを握ったとなれば。
おまえたち使用人は主人には一生かけても逆らえない───と、それはもう権力を使った脅しだった。
「だが、もし日暮 サナを俺たちに引き渡すなら話は変わるっつったら?」
「え…?」
そして権力を振りかざすのは、ここでも。
「1億だ。これで手を打つのはどうだ」
手にしていたアタッシュケースを開くと、ズラッと敷き詰められた1万円札の束。



