「あんたは俺の母親……日向 里奈(ひゅうが りな)の幼馴染なんだろ」
「…ええ。そうよ」
「最初から俺たち日向家を壊すためだけに、血縁関係のない娘を引き取って育てて日向家に送り込んだ。…違うか?」
この女の執念はきっと、父も想像さえしていなかったことだろう。
サナのことを最初から疑っていなかった俺は、この母親のことをずっと調べていた。
そもそもあいつのことは疑わないんじゃなく……疑えないんだ。
そして調べていくうちに俺の母親と幼馴染だったことを知り、だけじゃなく学生時代は俺の父親も混ぜた三角関係のようなものだったと。
つまり父と結婚した母を、この女は何年も執念深く恨みつづけていたのだ。
「……ふふ」
伏せられた顔から、含みある笑いが聞こえる。
「日向の事業もこれでおしまい。あの女にやっと復讐が果たせたわ。本当はあの女が生きているときにできたら一番よかったんだけれど。残念ね」
「………くははっ」
つぎに聞こえた俺の年相応な音に、女は「なにがおかしいのよ」とでも言いたげな目に変わった。



