識side
『葉奈…?そこにいるんでしょう…?…おいで。いらっしゃい』
幼い頃から1歳年下の弟が自分の意思で動ける時間帯は、夜だった。
メイドも仕事を終えて使用人たちもそれぞれのプライベートが許されたとき。
そこで葉奈はいつも、必ず母親が療養している屋敷の奥へと向かう。
俺はその日、たまたま見かけて秘密で追いかけた10歳の夜。
『ごめんね。いつもお母さんらしいことをしてあげられなくて…』
『いいよ、平気。だから…、フウやノゾムのためにも居なくならないで』
『…葉奈。あなたのためにもお母さんはもう少しだけ、ここに居たいわ』
ドアの隙間から覗いた先。
女の子に間違えるほど長い髪をした9歳の弟は、ベッドに半身を起こした母に撫でられながら謙虚に甘えていた。
『あなたは強くて立派な男の子よ、葉奈』
その言葉をもらうためだけに弟はきっとこんな夜中に部屋を抜け出したのだろうと感じて、幼いながらにも俺は胸が痛かった。
『葉奈…?そこにいるんでしょう…?…おいで。いらっしゃい』
幼い頃から1歳年下の弟が自分の意思で動ける時間帯は、夜だった。
メイドも仕事を終えて使用人たちもそれぞれのプライベートが許されたとき。
そこで葉奈はいつも、必ず母親が療養している屋敷の奥へと向かう。
俺はその日、たまたま見かけて秘密で追いかけた10歳の夜。
『ごめんね。いつもお母さんらしいことをしてあげられなくて…』
『いいよ、平気。だから…、フウやノゾムのためにも居なくならないで』
『…葉奈。あなたのためにもお母さんはもう少しだけ、ここに居たいわ』
ドアの隙間から覗いた先。
女の子に間違えるほど長い髪をした9歳の弟は、ベッドに半身を起こした母に撫でられながら謙虚に甘えていた。
『あなたは強くて立派な男の子よ、葉奈』
その言葉をもらうためだけに弟はきっとこんな夜中に部屋を抜け出したのだろうと感じて、幼いながらにも俺は胸が痛かった。



