どうやったとしても負ける。
なにを使ったとしても勝てっこない。
次男と三男だからじゃなくて、もっと深い絶対的な地獄の経験者としておれはハナちゃんには勝てない。
でもサナを守るためにここまで自分に嘘をつき続けているおれは、それだけは譲れなかった。
「…ふっ。いーじゃん?」
ストンっと離された胸ぐら。
許されたんじゃなく、認められた。
そんなふうに感じたって言ったらハナちゃんはどんな顔をするだろう。
「シキ兄が何を企んでるのかっ、もしかしてハナちゃん知ってんの…?」
「……さあ?」
よくわからない顔をして去っていく2歳年上の兄を。
おれは本当は、昔からずっと、いちばんかっこいい兄ちゃんだと思っていたんだ。
日向 葉奈はおれの憧れだったんだよ。



