日向家の諸事情ですが。





「あ、えっと…、サナは……」


「おまえに関係ない」


「か、関係なくないじゃん!だって…、サナは裏切り者…だし」



どーしよ…。

たとえハナちゃん相手だとしても演じきらないとダメだ。



「本気でそんなこと思ってんのかよ」


「えっ、───ッ!?」



気づいたときには、俺の踵(かかと)は地面から浮いていた。

予測できない動きで掴まれた胸ぐら。
とてつもない殺気。


つい震えそうになる唇をおれは、ぎゅっと噛む。



「なんだったら俺、あいつ連れてここ出ようか?」


「へ……?」



あいつって、サナのこと……?
ハナちゃんそんなこと考えてたの…?

だってハナちゃんは誰よりもメイドが嫌いで、恨んでいるはずなのに。


………ああそっか。

それさえサナは溶かしかけてしまったんだ。



「そ、そんなのしたらシキ兄が許さないよ…」


「どーでもいいだろ識なんか」


「っ…、……おれだって…許さない」


「…………」